ジョアン・ジルベルト (Joao Gilberto)
ブラジル ギター奏者
ジョアン・ジルベルト(本名ジュヴェニアーノ・ジョアンジーニョ)
(1930〜)はブラジルバイーア州ジュアゼイロで実業家の子として
生まれる。オルランド・シルヴァやディック・ファルネイとともに
フランク・シナトラを愛して止まない少年時代を過ごす。ある時、
親戚にギターをもらったのを機に音楽にのめり込むが、音楽活動
に関して両親と折り合いがつかず、家出同然で故郷を後にする。
以来裕福だった生活は一転し、友人や女性の家を渡り歩くという
その日暮らしの貧しい生活となる。しかし、ジョアン・ジルベルト
のカリスマ性なのか、怠惰な生活ぶりに反し多くの人に愛された。
1950年ガロータス・ダ・ルアに抜擢、初めて音楽でそれなりの
評価を受けたジョアン・ジルベルトだったが、相次ぐライブの遅刻
や欠席等集団生活の出来ない・を露呈し結局クビになってしまう。
やがてマリファナに溺れ心身ともに疲弊したジョアン・ジルベルト
は妹の家に身を寄せることになる。ここで心機一転し薬物も止め、
音響効果に優れた風呂場にこもり創作活動に専念するようになる。
リオ・デ・ジャネイロに出たジョアン・ジルベルトはナラ・レオンの
アパートを訪れる。ナラ・レオンのアパートはサンバ・カンソンに
飽き足りた若者のサロンと化していて、新しい音楽の誕生を待ち
望む期待の渦に満ちていた。その顔ぶれはカルリーニョス・リラ、
ホベルト・メネスカル、シコ・フェイトーザ、ドリ・カイミ等、後の
ボサノヴァを牽引していくものだった。ジョアン・ジルベルトが
風呂場で作り出した音楽はその場の空気を変え、待ち望んでいた
音楽の誕生を確信させるのに十分なものだった。
こうして時の先端を行くアーティスト達の共感を得、認められた
ジョアン・ジルベルトは既に売れっ子作曲家の仲間入りをしていた
アントニオ・カルロス・ジョビンを紹介される。直ぐにジョアンの
音楽の虜になったジョビンはヴィニシウス・ジ・モライスとの共作
「想いあふれてChega de Saudade」をジョアン・ジルベルトに
歌わせる事を思いつく。1959年発売された「想いあふれて」は、
ヒット曲となり、ここに晴れてボサノヴァが誕生した。
1960年代になるとボサノヴァはブラジル国外にも少しずつ知
られるようになり、ジャズを中心に取り上げられるようになった。
1962年には世界一の舞台と称されたカーネギーホールの場で
ボサノヴァアーティストが終結する歴史的コンサートが開かれ、
世界的に評価されるようになる。ここに参加したアーティストの
多くがこれをきっかけにそのままアメリカに移り住む事になり、
皮肉にもブラジル本国におけるボサノヴァブームは次第に冷めて
いくのだが、いずれにしてもジョアン・ジルベルトもアメリカに
残る道を選んだ。そして1963年にはスタン・ゲッツと歴史的
名作「ゲッツ/ジルベルト」を録音しボサノヴァが音楽的に確固
たる地位を占めるようになる。
しかし降って湧いたような人気はそう長く続かなかった。栄える
者も終には滅びん。アストラッド・ジルベルトとも離婚し、失意の
内にアメリカを後にしたジョアン・ジルベルトはメキシコを放浪。
喰うや喰わずのホームレス同然の生活をしていたという。しかし
この時期に吹き込まれた作品は本当に素晴らしい。コマーシャル
なボサノヴァとは違うジョアン・ジルベルト本来の姿が表現された
芸術的作品が名を連ねている。
1980年、ブラジルに帰国したジョアン・ジルベルトは1981
年、ポストボサノヴァのMPB(ムジカ・ポピュラー・ブラジレイラ)
の代表的アーティスト、カエターノ・ヴェローゾや
ジルベルト・ジル
と共演した作品「Brasil 海の奇蹟」を1枚残し、音楽シーンから
姿を消す。再び浮上したのは1990年発表の「Joao」。
神出鬼没で奇想天外。ブラジルが生んだ天才はどこに行くのか。
70を超えた今もボサノヴァリズムの提唱者ジョアン・ジルベルト
は未だ現役。ギター一本の弾き語りで聴衆を沸かせている。
![]() Getz/Gilberto | 1963年の録音。ブラジル音楽で最も有名な作品といって良いだろう。シンプルなジャズコンボ形式での音は今聴いてもとても新鮮。ドリヴァル・カイミやアリ・バホーゾ等のボサノバ以前の曲からボサノバまで幅広い選曲も聴きどころ。 詳細ページは → こちら 購入ページは → こちら |
![]() 彼女はカリオカ |
ジョアン・ジルベルト、1970年の録音。オスカル・カストロ・ネヴィスを編曲に迎えたメキシコ漂流期の作品。意気揚々とアメリカに進出したボサノバアーティストが現地でバラバラとなり、ジョアンは失意の中にメキシコへと渡る。不遇期に見せた永遠の輝き。それが本作である。 詳細ページは → こちら 購入ページは → こちら |
![]() 海の奇蹟 |
メキシコ放浪の旅からブラジルに帰国したジョアン・ジルベルト1980年の作品。ボサノヴァ後の動き、トロピカリスモの主導者、ジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾそれに妹のマリア・ベターニアを加えてアリ・バホーゾやドリヴァル・カイミ等の音に取り組んだ隠れた名盤。 詳細ページは → こちら 購入ページは → こちら |
Joao Gilberto Live 2006/11/9
Joao Gilberto
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そうらしいんですよ。妹夫婦の家に引き取られて風呂場でギターに没頭。気が向いた時に出てきては演奏を披露していたそうです。そうでなくても数々の奇行で有名なジョアン・ジルベルトですが、極めつけの出来事といってもいいかも知りませんw
ジョアン・ジルベルトのギターへのあまりの執着振りに父親は精神の異常を考え病院に連れて行ったそうです。(診断は異常なしだったようです。)それほど一心不乱に打ち込めるのは相当な胆力の持ち主である証拠だと思います。奇行も含めてジョアン・ジルベルトは天才という二文字にぴったり来る人物なのではないでしょうか。